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家具の固定のポイント

家具の転倒・落下・移動を防ぐ重要性

地震などの災害時、室内での安全を守るために欠かせないのが家具の固定対策です。特に大きな地震が発生した際には、家具類が倒れたり、物が落ちたりすることでケガをするリスクが高まります。実際に過去の地震では、負傷者の30~50%が家具の転倒や落下が原因とされています。このような被害を防ぐため、家具の固定は家族や自身の命を守るための第一歩です。

では、どのような対策が必要なのでしょうか?ここでは、日頃から取り組める家具固定の具体的な方法について解説します。


家具のレイアウトを工夫する

家具の固定を考える前に、まずは室内のレイアウトから見直してみましょう。家具を配置する際には以下の点を意識することが重要です。

  1. 避難経路の確保
    家具類が避難経路をふさがないよう、玄関や廊下にはできるだけ物を置かないようにします。特に地震時には、家具の倒壊が避難を妨げる原因になることがあります。
  2. 生活空間をスッキリさせる
    納戸やクローゼットを活用し、必要最低限の家具だけをリビングや寝室に配置します。これにより、地震時に避難しやすい空間を確保できます。
  3. 火災リスクを減らす
    ストーブや暖房器具の近くに家具を置くと、地震時に転倒して火災を引き起こす可能性があります。家具類は熱源から一定の距離を保つように配置しましょう。

家具固定の基本「ネジ止め」

家具の転倒・落下を防ぐ最も効果的な方法は、壁と家具をネジでしっかりと固定することです。この方法は「ネジ止め」と呼ばれ、L字型の金具を使って家具と壁をつなぎます。以下の手順を参考に、確実な固定を行いましょう。

  1. L字金具の使用方法
    家具と壁の間にL字金具を取り付け、木ネジやボルトで固定します。この際、ネジが壁の柱にしっかりと届くようにすることがポイントです。壁の下地を確認して、適切な位置に取り付けましょう。
  2. 下向き固定の選択
    L字金具には上向きや下向きの取り付け方法がありますが、強度を求める場合は下向きの取り付けが適しています。
  3. 補助器具の活用
    ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒や粘着マットなどを組み合わせて使用すると、固定の効果が高まります。

その他の固定方法と器具の活用

ネジ止め以外にも、家具の転倒・落下を防ぐために活用できる器具は多数あります。それぞれの特徴を知り、用途に合わせて選びましょう。

  1. 突っ張り棒
    天井と家具の間に設置し、家具を動かないように固定します。粘着マットと併用することで、より強い固定が可能です。
  2. 粘着マット
    ゲル状の粘着マットを家具の底面と床の間に挟むことで、滑り止めとして効果を発揮します。テーブルやイスなどにも使用可能です。
  3. 着脱式移動防止ベルト
    キャスター付きの家具を固定する場合に便利です。家具と壁をベルトでつなぎ、必要に応じて簡単に取り外しができます。
  4. ストッパー式器具
    家具の前下部にくさび状のストッパーを差し込み、家具を壁側に少し傾斜させることで安定感を高めます。
  5. チェーンやワイヤー
    吊り下げ式照明や観賞用水槽を固定する際に使用します。揺れによる落下を防ぐための必須アイテムです。

注意が必要な家具やアイテム

固定の優先順位を考える際には、特に注意が必要な家具やアイテムを把握しておきましょう。

  • 吊り下げ式照明
    長周期地震動のようなゆっくりとした大きな揺れにより、振り子のように大きく揺れる可能性があります。専用のチェーンやワイヤーで補強を行いましょう。
  • キャスター付き家具
    キャスターが動くと家具自体が移動して危険です。使用しないときはキャスターをロックし、さらに固定器具で補助することが推奨されます。
  • ガラス扉付きの家具
    ガラス飛散防止フィルムを貼ることで、地震でガラスが割れた際の破片飛散を防ぐことができます。

長周期地震動に対する備え

地震の揺れにはさまざまな種類がありますが、大規模な地震では長周期地震動が発生することがあります。この揺れは通常の地震動と異なり、ゆっくりとした大きな振動が長時間続くのが特徴です。特に注意が必要なのは、以下のアイテムです。

  • 観賞用水槽やウォーターサーバー
    重心が高いため揺れで転倒しやすく、適切な器具での固定が必要です。
  • 背の低い家具
    一見安全に見えますが、動き出すと止まらないことがあるため、滑り止めマットなどで移動を防止します。

定期的な点検と見直しの重要性

家具の固定対策は一度行えば終わりではありません。地震や日常生活の中で固定が緩んでしまうこともあります。そのため、定期的に点検し、必要に応じて器具を交換したり、固定方法を見直すことが大切です。また、ライフスタイルの変化に合わせて家具の配置や器具の種類を調整することで、安全性をさらに向上させることができます。


家具固定は「今すぐ始められる防災」

家具の固定対策は難しい手間をかけなくても、少しの工夫で大きな効果を得ることができます。災害はいつ起きるかわかりませんが、日頃からの備えが命を守ります。家族全員で協力して家具の安全対策を進めましょう。それが災害時に家族の安全を守る大きな一歩となります。