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水害から地域を守る水防活動

水害は日本に住む私たちにとって、身近で深刻な自然災害の一つです。台風や集中豪雨による河川の氾濫、高潮などの水害は毎年のように発生し、多くの地域で家屋やインフラが被害を受けています。このような状況の中、水害への備えとして注目されているのが「水防活動」です。この記事では、水防活動の概要やその重要性、さらに家庭で実践できる具体的な備えについて解説します。


水防活動とは?

水防活動とは、水害による被害を未然に防ぎ、被害が発生した場合にはその影響を最小限に抑えるための防災活動を指します。行政が行う「公助」、個人が自ら備える「自助」、そして地域コミュニティが力を合わせる「共助」の三本柱が一体となることで、水防活動は成り立っています。

地域レベルでは、水防(消防)団が中心となり、堤防の補修や土のうの設置、住民への警戒呼びかけなどが行われます。また、家庭や個人でも日頃からの備えを通じて水害に対応することが求められます。


水害の現状とその頻度

日本では、毎年どこかで水害が発生しています。過去10年間で、約97%の市区町村が一度以上水害を経験しているというデータが示す通り、水害は全国的に身近な災害です。特に梅雨や台風シーズンに多く発生し、近年ではゲリラ豪雨による短時間での激しい降雨も増加傾向にあります。

例えば、令和3年8月の大雨では、九州から東北にかけて記録的な降水量が観測され、多くの河川で氾濫が発生しました。また、令和元年の東日本台風では広範囲で甚大な被害が及びました。このような事例からも、いつどこで水害が発生してもおかしくない状況だと言えます。


地域を守る水防(消防)団の役割

水防(消防)団は「自分たちの地域は自分たちで守る」という精神に基づいて結成された地域密着型の組織です。主に地域住民が団員となり、非常時には水防活動の最前線で活躍します。

団員たちは平時から訓練を重ね、堤防の補修や土のうの適切な積み方、溢れた水を排水する技術などを学んでいます。豪雨が予想される場合にはパトロールを行い、危険箇所をチェックしたり住民への避難指示をサポートしたりします。

一方で、近年では団員の高齢化や人手不足が課題となっています。そのため、自治体や民間企業が協力して新しい団員を募集するなど、地域の防災力を維持・向上させる取り組みも行われています。


家庭でできる水害への備え

水害への備えは、家庭レベルでも重要です。自分自身や家族を守るために、以下のような準備をしておくことをおすすめします。

1. ハザードマップの確認

自治体が提供する水害ハザードマップを活用し、自宅やその周辺がどのような水害リスクにさらされているのかを把握しましょう。浸水の深さや避難所の位置、避難経路などが記載されており、必要な対策を検討する際の重要な情報源となります。

2. 非常持ち出し品の準備

水害発生時には速やかに避難することが求められるため、非常持ち出し品をあらかじめ準備しておきましょう。食料や飲料水、懐中電灯、予備の電池、携帯電話の充電器、衣類、医薬品、現金、身分証明書などをリュックにまとめておくと良いでしょう。小さな子どもや高齢者がいる場合は、その人に合わせたアイテムも追加してください。

3. 家族で避難計画を立てる

避難時に家族が離れ離れになった場合に備え、連絡手段や避難場所を事前に決めておくことが大切です。通信会社が提供する「災害用伝言サービス」なども利用できるよう、家族で使い方を確認しておきましょう。

4. 家屋の防災対策

自宅が浸水の危険にさらされる場合、家具の配置や防水シートの設置などの事前対策を講じることも有効です。排水口をふさぐ器具を用意する、電化製品を高い場所に移動させるなど、家の構造や環境に応じた対策を行いましょう。


水害時の避難の注意点

水害時の避難は迅速かつ安全であることが求められます。以下のポイントに注意して行動してください。

  1. 早めの避難を心がける
    特に高齢者や子どもがいる家庭では、危険が迫る前に避難を始めることが重要です。
  2. 情報を確認する
    気象情報や河川の水位情報、自治体からの避難指示などを定期的にチェックしましょう。
  3. 安全な経路を選ぶ
    浸水が始まる前に避難するのが基本ですが、既に浸水が始まっている場合は、無理に移動せず自宅の2階以上に避難するなど、安全な行動を優先しましょう。
  4. 車での避難は控える
    車は水に弱く、浸水すると動けなくなる可能性があります。徒歩や公共の避難手段を活用しましょう。
  5. 近所と協力する
    一人での避難が難しい人がいる場合は、声をかけ合い、集団で行動することで安全性を高められます。

水防活動に参加する意義

地域の安全を守るために、水防活動に参加することは意義深い行動です。水防(消防)団は地域社会に欠かせない存在であり、団員として活動することで地域全体の防災力を高めることができます。

また、地域コミュニティのつながりを強めるきっかけにもなります。興味がある方は、ぜひお住まいの自治体に問い合わせてみてください。


おわりに

水害はいつどこで発生するかわからない災害ですが、日頃からの備えや地域の連携によって被害を減らすことができます。水防活動の重要性を理解し、家庭や地域でできる対策を一つひとつ実践していくことが、命や財産を守る第一歩です。自分の身を守るため、そして大切な人々を守るために、水防活動に積極的に取り組んでいきましょう。